新たな再建案を点検すると、GMが販売網の縮小を打ち出すなど従来より踏み込んだ部分もあるが、不十分な点も多い。GMは2012年までに労務コストをトヨタ自動車並みに下げるというが、なぜ4年後なのか。公的支援を求めるなら、労使で痛みを共有するのが当然だろう。
またクライスラーは他社との統合でコスト削減をめざすとしているが、以前の独ダイムラーとの合併では部品の共通化などが進まず、コスト削減は「絵に描いたモチ」に終わった。その失敗を繰り返さない保証はあるのだろうか。
一方で、支援要請を受けた米政府・議会も難しい判断を迫られる。自由競争の建前からいえば、外国車との競争に負けたビッグスリーを政府が救済するのは、公正ではない。
日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用を受け、債務を棒引きし、経営陣を入れ替えた上で出直したほうが、再生の可能性が高まるという指摘もある。米世論も救済には批判的な意見が多いという。
ただ、米経済が弱体な現状で大型倒産が起これば、危機が深まる懸念もぬぐえない。GMは自動車ローンを手がける関連会社を含めると、20兆円程度の有利子負債を抱え、破綻の衝撃は予測しきれない。部品会社などへの余波も心配だ。
日本でも金融不安が高まった時代に、産業再生機構を使ってダイエーなど一般の事業会社の再建を公的に支援した例はある。
しかし危機回避へ公的支援が必要としても、あくまで1回限りの例外措置であるべきだ。今回のような不十分な再建計画では今後、公的支援が繰り返される恐れがある。そうなれば自動車産業の競争条件はゆがみ、各国に自国企業保護の動きが広がりかねない。説得力ある再建案をビッグスリーに求めるゆえんだ。
再建への道程は簡単なものでは有りません






